今の会社に、大きな不満があるわけじゃない。でも最近、「このままでいいのだろうか」と考える時間が増えてきた。
仕事には少し慣れてきた一方で、成長している実感は薄く、任される範囲も限定的。評価の基準も見えづらく、自分がどんな力を身につけているのか、うまく説明できない。第二新卒と呼ばれるタイミングで、多くの20代がこうした違和感を抱き始めます。
実際、若手社員を対象にした調査では、「成長実感が持てない」「仕事のやりがいが分からない」といった理由が、転職を考えるきっかけとして上位に挙がっています。入社して数年でキャリアに迷うこと自体は、決して珍しいことではありません。重要なのは、この違和感を「すぐ辞めるべきサイン」と捉えるか、「一度立ち止まって考える材料」と捉えるかです。
最近では、スタートアップ転職や副業といった選択肢に関心を持つ20代も増えています。裁量が大きい、成長できそう、挑戦できそう。そうしたイメージが先行しがちですが、本当に大切なのは「自分にとって、その選択が合理的かどうか」を判断できているかどうかです。勢いで環境を変えても、判断軸が曖昧なままでは、同じ迷いを繰り返してしまいます。
この記事では、今の会社に違和感を覚え始めた20代・第二新卒に向けて、
- なぜこのタイミングで迷いが生まれやすいのか
- 転職すべきかどうかを考える前に整理したい判断軸
- スタートアップ転職・副業が「選択肢」になり得る理由
を、データや構造をもとに整理していきます。
なぜ第二新卒は「今の会社に違和感」を覚えやすいのか

第二新卒のタイミングでキャリアに迷い始める人は少なくありません。それは意志が弱いからでも、根性が足りないからでもなく、構造的に違和感を覚えやすい時期だからです。
成長している「はず」なのに、実感が持てなくなる
入社直後は、覚えることが多く、できなかったことができるようになる感覚も分かりやすい。しかし2年目、3年目に入ると、仕事には慣れ、日常業務は回せるようになる一方で、成長の手応えが見えにくくなります。実際、若手社会人を対象とした調査では、「成長実感がない」と感じている人が一定数存在し、その多くが転職を意識した経験があるとされています。ここで重要なのは、「成長していない」という事実よりも、自分が何を身につけているのか説明できない状態に陥りやすい点です。

この1年で何ができるようになったのか?



そのスキルは、社外でも通用するのか?
こうした問いに答えられないと、不安は自然と膨らみます。
エン・ジャパンが39歳以下のビジネスパーソンを対象に行った調査では、約3人に1人が「仕事を通じた成長実感がない」と回答しています。さらに注目すべきなのは、その「成長実感がない」と答えた人の9割以上が、転職を考えた経験があると回答している点です。
この結果からも、成長を実感できない状態が、若手にとってキャリアの迷いにつながりやすいことが分かります。引用:20代・30代のビジネスパーソン1200人に聞いた「仕事を通じた成長実感」意識調査ー『AMBI』ユーザーアンケートー
裁量のなさが「自分は評価されていない」という感覚を生む
第二新卒は、責任ある仕事を少しずつ任され始める一方で、最終的な意思決定は上司や先輩にあり、自分でコントロールできる範囲はまだ限られています。この状態が続くと、



任されている感覚が持てない……
成果と評価の関係がわからない……
自分が「戦力」なのかわからない……
といった感情が生まれやすくなります。評価制度そのものに問題があるとは限りません。ただ、評価の基準や期待値が見えにくいと、人は自分の成長を実感しづらいというのは自然なことです。
「違和感を持つこと」自体は珍しくない
厚生労働省などのデータを見ると、新卒入社後数年以内に離職する人の割合は決して低くありません。また、離職理由として挙げられるのは、待遇だけでなく「仕事内容への不満」や「将来への不安」といった、感覚的な要素も多く含まれています。ここから言えるのは、第二新卒で違和感を覚えること自体は、個人の問題ではなく、多くの人が通るプロセスだということです。
厚生労働省が公表している「新規学卒者の離職状況」によると、新卒で就職した人のうち大学卒では約3割(33.8%)が、就職後3年以内に離職しているという結果が出ています。これは「3年3割」とも言われる、若手にとって早期離職が決して少数ではない現象です。
引用:新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します
また、厚生労働省関連の調査資料や早期離職に関する分析では、離職理由として待遇・労働条件だけでなく、仕事内容へのギャップや将来のキャリアへの不安といった要素が挙げられており、若手社員が自分の仕事・将来について感じる感覚的な要因が離職判断に影響していることが示唆されています。
引用:若者の離職理由
問題になるのは、その違和感を
- 勢いで環境を変える理由にしてしまうのか
- それとも、一度立ち止まってキャリアを整理するきっかけにできるのか
という点です。「すぐ転職すべきか」と悩む20代が、感情ではなく判断軸で考えるために整理しておきたいポイントを見ていきます。
「すぐ転職すべき?」と悩む20代が整理すべき3つの判断軸
今の会社に違和感を覚え始めると、頭に浮かぶのは「転職」という言葉かもしれません。一方で、「まだ早い気がする」「第二新卒で辞めたら不利になるのでは」と迷う人も多いはずです。



正直、辞めたい気持ちはあるけど……これって甘えなのかな?
ここで大切なのは、転職するかどうかを今すぐ決めることではありません。まずは感情と距離を取り、自分の状況を整理するための判断軸を持つことです。
判断軸①|今の環境で「これから伸びる余地」は残っているか
違和感を覚えたとき、最初に確認したいのは「この会社にいる限り、これ以上の成長は望めないのか」という点です。ここでいう成長とは、忙しさや我慢の量ではありません。
- 任される仕事の幅が広がっているか
- 役割や期待値が変化しているか
- 半年後・1年後に、新しく身につくスキルを具体的に想像できるか
もし「今後も仕事内容や役割がほとんど変わらなそうだ」と感じるなら、環境要因によって成長が頭打ちになっている可能性があります。逆に、
- 上司やチームが変わる予定がある
- 新しいプロジェクトに関わるチャンスが見えている
といった場合は、まだ環境を活かし切れていない段階とも言えます。転職を考える前に、「今の環境に伸び代があるか」を冷静に切り分けることが重要です。
判断軸②|今の仕事で身につくスキルは、社外でも説明できるか
次に考えたいのは、今の経験が会社の外でも通用するかどうかです。



この仕事、他の会社でも評価されるんだろうか……?
この問いにすぐ答えられない場合、不安が大きくなるのは自然なことです。ポイントは、「専門性があるかどうか」よりも、
- 何を考え
- どんな工夫をし
- どんな成果につなげたのか
を言語化できるかどうかです。実際、第二新卒の転職においては、「即戦力」よりも ポテンシャルや思考プロセスが評価されるケースも多くあります。だからこそ、自分の経験を「会社の中だけの話」に閉じず、他者に説明できる形に整理できているかが判断軸になります。
判断軸③|転職を「逃げ」ではなく「選択」として考えられているか
最後の判断軸は、少し抽象的ですがとても重要です。
- 今の不満から逃れたいだけなのか
- それとも、次に進む理由が言葉になっているのか
この違いは、転職後の納得感を大きく左右します。



「このまま続けるのも違う気がするし、でも辞める理由もはっきりしない……」
こう感じている場合、「転職する・しない」を決めるには、まだ情報と思考が足りていません。ここで大切なのは、いきなり答えを出そうとしないことです。転職はゴールではなく、あくまで手段。判断軸が整理されていないまま環境を変えても、同じ迷いを繰り返す可能性があります。
スタートアップ転職・副業は、なぜ20代の選択肢になり得るのか


ここまでで見てきたように、第二新卒が感じる違和感の多くは、「努力していないから」ではなく、環境と成長実感のズレから生まれます。その中で、スタートアップ転職や副業に関心が集まりやすいのは自然な流れです。ただし重要なのは、スタートアップが“正解”だからではありません。特定の条件がそろったときに、合理的な選択肢になり得る、という位置づけです。



「スタートアップって、成長できそうだけど正直よく分からない……」
ここでは、なぜスタートアップが20代のキャリアにおいて検討対象になりやすいのかを、構造的に整理します。
成長の「スピード」ではなく「質」が変わりやすい
スタートアップの特徴としてよく挙げられるのが、「成長が早い」「裁量が大きい」といった点です。ただし、ここで言う成長は、単に忙しいという意味ではありません。
- 役割が細かく分業されていない
- 正解が決まっていない課題に向き合う機会が多い
- 事業の意思決定と自分の仕事の距離が近い
こうした環境では、「何を考え、どう判断し、どう動いたか」が結果に直結しやすくなります。そのため、自分の思考や行動を振り返りやすく、「どんな力が身についたのか」を言語化しやすい。これは、成長実感を持ちにくい20代にとって、一つの魅力になり得ます。
若手でも役割を持ちやすい環境がある
スタートアップは、大企業に比べて組織が小さく、年次や肩書きよりも「今、誰ができるか」が重視される傾向があります。その結果、
- 入社年次に関係なくプロジェクトを任される
- 業務範囲が自然と広がる
- 結果と評価の距離が近い
といった状況が生まれやすくなります。もちろん、すべてのスタートアップがそうとは限りません。ですが、裁量を持って働きたいと感じている20代にとって、そうした環境が存在する確率が相対的に高いのは事実です。
「いきなり転職しない」関わり方ができる
スタートアップが20代の選択肢として現実的なのは、転職だけでなく、副業という関わり方がある点も大きいでしょう。



「興味はあるけど、いきなり転職するのは正直怖い」
副業という形であれば、
- 実際の業務やカルチャーを体感できる
- 自分に合うかどうかを確かめられる
- 市場からどう評価されるかを知れる
といったメリットがあります。これは、「今の会社を辞めるかどうか」を決める前に、キャリアを試すという選択でもあります。判断軸が固まりきっていない段階の20代にとって、この柔軟さは大きな意味を持ちます。
向いている人・向いていない人がはっきり分かれる
一方で、スタートアップは万能な環境ではありません。
- 業務が不安定
- 教育体制が整っていない場合もある
- 成果が出なければ評価されにくい
こうした側面も確実に存在します。
だからこそ重要なのは、「スタートアップが良いかどうか」ではなく、「今の自分の判断軸と合っているか」です。成長実感を得たいのか、裁量を持ちたいのか、自分のスキルを試したいのか。その答えによって、スタートアップは前向きな選択肢にも、そうでない選択にもなり得ます。
そうしたスタートアップ選びでつまずきやすい落とし穴やミスマッチの原因について整理していきます。
失敗しないために知っておきたい、スタートアップ選びの落とし穴
スタートアップ転職や副業は、判断軸を持って選べば大きな学びになります。一方で、選び方を誤ると「思っていた成長が得られない」「また迷いが深まった」という結果にもなりかねません。



せっかく環境を変えたのに、なんだか前より不安が増えた気がする……
こうした失敗の多くは、能力や努力の問題ではなく、スタートアップ特有の構造を理解しないまま選んでしまうことが原因です。
落とし穴①|「スタートアップなら成長できる」と思い込んでしまう
スタートアップは、成長機会が多い環境になりやすいのは事実です。しかしそれは、誰にとっても自動的に成長できる場所という意味ではありません。
- 任される=育ててもらえる、ではない
- 裁量がある=サポートが手厚い、ではない
この前提を誤ると、「放置されているように感じる」「何を学べばいいか分からない」といったギャップが生まれます。スタートアップでは、成長は与えられるものではなく、取りにいくものであるケースが多い。ここを理解していないと、期待と現実がズレやすくなります。
落とし穴②|事業フェーズと自分の役割を見ていない
スタートアップと一言で言っても、立ち上げ直後から拡大フェーズまで、その状態は大きく異なります。
- 初期フェーズ:人手不足、属人化、試行錯誤が前提
- 成長フェーズ:仕組み化、再現性、役割分担が進む



幅広く経験できると思ったけど、実際は雑務ばかりだった
これは、フェーズと期待していた役割が合っていなかった典型例です。「何を任される可能性があるのか」「どんな力を期待されているのか」この2点を確認せずに入ると、成長機会そのものを活かせなくなってしまいます。
落とし穴③|情報が少ないまま意思決定してしまう
スタートアップは、情報が表に出にくいという特徴があります。求人票や公式サイトだけを見て判断すると、どうしても情報が不足しがちです。
- 実際の働き方
- 若手がどこまで裁量を持てるか
- 評価やフィードバックの仕組み
こうした点は、外からは見えにくいが、入社後の満足度を大きく左右します。



もっとちゃんと話を聞いておけばよかった……
この後悔は、事前に情報を取りにいけば避けられるケースが多いです。
落とし穴④|リスクを「覚悟」や気合で処理してしまう
スタートアップには、不確実性や変化がつきものです。ただし、それを「覚悟があれば大丈夫」と精神論で片づけるのは危険です。重要なのは、
- どんなリスクがあり得るのか
- それが起きたとき、どう対処するか
- 他の選択肢は用意しているか
を具体的に考えているかどうか。リスクを言語化できていない状態では、想定外の出来事が起きたときに、冷静な判断ができなくなります。スタートアップ選びで失敗しないために必要なのは、特別な情報や強い覚悟ではありません。
- 成長をどう定義するか
- 自分が置かれる役割を理解すること
- 情報を集め、比較すること
この基本を押さえるだけで、ミスマッチの確率は大きく下げられます。
こうしたポイントを踏まえたうえで、判断軸を持った20代が次に取るべき、具体的な行動について整理していきます。


判断軸を持った20代が、次に取るべき具体的な行動


ここまで読み進めてきたあなたは、「転職すべきかどうか」よりも先に、自分なりの判断軸を少しずつ整理できている状態だと思います。



方向性は見えてきたけど、じゃあ次に何をすればいいんだろう?
この段階で大切なのは、いきなり大きな決断をしないことです。判断軸を行動につなげるためには、段階を踏む必要があります。
いきなり転職活動を始めなくていい
違和感を覚えると、「とりあえず転職サイトに登録しよう」と動きたくなるかもしれません。ただ、判断軸が整理されきっていない段階での転職活動は、選択肢を狭めてしまうこともあります。このフェーズで必要なのは、合否をつける活動ではなく、情報を集める行動です。
- どんな会社・働き方があるのか
- 自分の経験は、どんな環境で評価されそうか
- 今の違和感は、環境を変えれば解消されるものか
これらを知ることが、次の選択の精度を上げます。
転職と副業を分けて考えない
20代のキャリアにおいて、転職か、現職か、という二択で考える必要はありません。



副業って、意識高い人がやるものじゃないの?
実際には、副業はキャリアを試すための軽い一歩としても機能します。
- 実際の業務を通じて、自分に合うか確かめられる
- スタートアップのスピード感や裁量を体感できる
- 市場から見た自分の立ち位置が分かる
いきなり環境を変えるのではなく、接点を持つところから始めるという選択肢があることは、判断軸を持った20代にとって合理的です。
「情報が集まる場所」を一つ持つ
行動の質を左右するのは、どれだけ多く動くかよりも、どこから情報を得るかです。
スタートアップに関する情報は、SNSや個人ブログにも溢れていますが、断片的で偏りやすいという側面もあります。だからこそ、
- スタートアップに特化している
- 転職・副業の両面から検討できる
- 若手や第二新卒でもアクセスしやすい
こうした条件を満たす「情報が集まる場所」を一つ持っておくことが重要です。


StartupClass(スタクラ)を使う、という選択
スタートアップとの接点を持つ方法の一つが、StartupClass(スタクラ)のようなサービスを活用することです。
スタクラは、スタートアップ企業の転職・副業案件を中心に、若手でも挑戦しやすい機会をまとめて知ることができます。ここで大切なのは、「今すぐ転職するために使う」ことではありません。
- どんなスタートアップがあるのかを知る
- 自分の経験が、どんな形で求められているかを見る
- 副業という形で関わる選択肢を知る
こうした市場を理解するためのツールとして使うことで、自分の判断軸を、現実とすり合わせることができます。



まずは情報を見てみるだけ、でもいいんだな
このくらいの距離感で十分です。


行動は「決断」ではなく「確認」から始める
キャリアの選択は、一度決めたら後戻りできないものではありません。大切なのは、
- いきなり答えを出そうとしない
- 小さく動き、確かめながら進む
- 判断軸をアップデートし続ける
という姿勢です。判断軸を持った20代にとって、行動とは「人生を決めること」ではなく、次の選択肢を増やすための確認作業です。
まとめ
今の会社に違和感を覚えたとき、多くの20代は「自分が間違っているのではないか」「もう少し我慢すべきではないか」と、自分の中で答えを急ぎがちです。しかし、第二新卒のタイミングで迷いが生まれるのは、特別なことではありません。成長実感の見えにくさや裁量の限界は、個人の努力不足ではなく、環境の構造から生まれることも多いからです。
そのために整理してきたのが、
- 今の環境に伸び代は残っているか
- 身につく経験を社外で説明できるか
- 転職を逃げではなく選択として考えられているか
という判断軸です。
スタートアップ転職や副業は、こうした判断軸を持ったときに初めて、検討する意味を持つ選択肢になります。万能な答えではありませんが、裁量や経験の密度を重視したい20代にとって、現実的に確かめやすい環境のひとつであることは確かです。行動は、決断から始める必要はありません。まずは情報を集め、比較し、自分の判断軸と照らし合わせる。その延長線上に、納得できる選択があります。
焦らず、煽られず、自分のキャリアを自分の言葉で説明できる状態をつくること。それが、迷いの多い20代にとって、何より大切な成果です。











